左官アシスト(特許 第6689143号 商標登録 第5912487号 NETIS:HK-170017-VE ARIC:1245)
左官アシスト工法とは
ポリマーセメントモルタルを用いるコンクリート構造物の補修工事において、補修作業を一部機械化することで、施工の少人数化と仕上り品質の平準化を通して生産性の向上を図り、施工費用の低減と技能者不足対策に繋げる機械化工法。
適用対象
開水路補修工法の体系
認定・登録など
- 農林水産省H30官民連携新技術研究開発事業における機械化施工の研究技術に採用
- 農業水利施設保全補修ガイドブック(発行:(一社)農業土木事業協会)に掲載
- NETIS(国土交通省技術情報提供システム)登録番号『HK-170017-VE』
- ARIC(農業農村整備民間技術情報データベース)登録番号『1245』
農林水産省官民連携新技術研究開発事業とは
農業農村整備事業の現場にすぐに生かせるほ場レベル(フィールドレベル)での創意工夫等による新技術開発を、官民の密接な連携の下に進めることにより、農業農村整備事業を一層効率的に推進することを目的とした事業です。(農林水産省ホームページより抜粋)
農林水産省ホームページ(官民連携新技術研究開発事業)
https://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/kanmin.html
当社は官民連携新技術研究開発事業として、室蘭工業大学大学院、鳥取大学農学部、寒地土木研究所水利基盤チームなどと「高炉スラグ系材料及び機械化施工による超高耐久性断面修復・表面被覆技術の開発」と題して共同研究を行っています。
左官アシストは超高耐久性断面修復・表面被覆を具現化する要素技術の1つで、北海道内の開水路で試験施工およびモニタリング調査を現在実施しています。
従来工法との比較
左官アシスト工法
- モルタル吹付け
- 吹付機械による湿式吹付け
- 吹付け面の粗仕上げ
- 均し機械による凹凸調整・粗仕上げ
- 表面仕上げ
- 金鏝による表面仕上げ
(熟練度は問わない)
従来工法
- モルタル吹付け
- 人力による湿式吹付け
- 吹付け面の粗仕上げ
- 木鏝や中塗鏝による凹凸調整や粗均し
- 表面仕上げ
- 金鏝による表面仕上げ
施工の様子
活用の効果
経済性と工程の効率化
施工人数 | 日当り施工量 | |
---|---|---|
農水省標準歩掛 (吹付工法) |
15人/日 | 115㎡/日 |
左官アシスト工法 (協会歩掛による試算) |
7人/日+機械損料 130,000円/日 | 130㎡/日 |
効率 | 人員:約55%減 施工費:約10%減 |
約10%増 |
生産性の向上
経済性:施工人数が減ることにより経済性が向上する。
工程 :日当り施工量が向上することにより工程が短縮される。
専門技能者の高齢化・担い手不足の解消
- ①左官アシストの活用により表面仕上げに近い水準で凹凸調整・粗均しが可能。
- ②表面仕上げに熟練度が要求されなくなるため、熟練技能者ではなく経験の浅い技能者においても一定の仕上がり品質を確保しながら施工が可能。(仕上がり品質の平準化)
- ③専門技能者不足・担い手不足の影響を最小限に抑えることが可能。
- 均し機械による粗仕上げ後
開水路底版用機械について(官民連携新技術研究開発事業による成果1)
官民連携新技術研究開発事業による成果の1つとして底版用機械を開発し実証試験を実施しています。(協力:空知土地改良区)
水路曲面部への対応について(官民連携新技術研究開発事業による成果2)
官民連携新技術研究開発事業による成果の1つとして水路曲面部対応機械を開発し実証試験を実施しています。(協力:空知土地改良区)
主な施工事例
若旅導水幹線水路試験施工
関東農政局や農村工学研究所からの見学者を含め約40名が参加。
- 協力:鬼怒川南部土地改良区連合
平成29年3月3日実施
野洲川上流部地区土山導水路試験施工
近畿農政局や滋賀県土地改良事業団体連合会からの見学者を含め50名超が参加。
- 協力:滋賀県野洲川土地改良区
平成29年10月20日実施
下飯田用水路2期地区用水路補修3工事
工区内の一部で試験施工を実施。テレビ局や新聞等の報道関係者を含め約40名が見学。仕上がり品質の高さと工法の先進性が高く評価された。
- 発注:静岡県西部農林事務所
平成29年10月27日実施
南部主幹線用水路(その1)工事
農政局発注工事で初めて採用。工程短縮のための創意工夫として認められ、工事評価点において高く評価された。
- 発注:東北農政局岩手山麓水利事業所
平成30年1月施工
那賀川小松島 立江用水路3工事
中国四国農政局や徳島県から約20名が見学。
仕上がり品質の高さと施工の早さが高く評価された。
- 発注:徳島県東部農林水産局
令和元年11~12月施工
八代幹線水路(2-1工区)改修工事
九州で初めて導入。九州農政局や熊本県内外の設計コンサルタント会社・施工会社から30名を超える参加者が見学。「人材不足にマッチした工法だ」や「施工スピードがかなり早い」といった声があり、農林水産省の機関誌「火の国vol.206」や「農業農村の整備 第704号」にもレポートが掲載された。
- 発注:九州農政局八代平野農業水利事業所
令和3年11~12月施工
尾白利加ダム余水吐補修外一連工事
余水吐の壁高7.5mを施工。従来施工の場合では仮設足場を設置する必要があるが、本技術を活用することで仮設足場上での施工が不要となり、転落墜落災害の危険性を取り除くことができた。
- 発注:北海道開発局札幌開発建設部 深川農業事務所
令和4年1~2月施工
発表など
各地の工法説明会や技術発表会、専門誌などで発表
平成29年2月 | 北海道開発局主催『第60回(平成28年度)北海道開発技術研究発表会』 |
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平成29年9月 | 東海農政局 土地改良技術事務所主催『平成29年度 第1回 新技術・工法等説明会』 |
平成29年11月 | 北海道土木技術会 コンクリート研究委員会主催『平成29 年度 技術発表会』 |
平成29年12月 | 関東農政局 土地改良技術事務所主催『農業土木展示室 第37回新技術・新工法説明会』 |
平成29年12月~ | 関東農政局 土地改良技術事務所農業土木展示室にて説明パネルを展示 |
平成30年8月 | 日経コンストラクション(8月27日号)『常識を打ち破る地方発の補修技術』にて技術紹介 |
令和元年5月 | 東海農政局 土地改良技術事務所主催『令和元年度 第1回 新技術・工法等説明会』 |
令和元年7月 | 日本コンクリート工学会主催 コンクリート工学年次大会2019テクノプラザ出展講演 |
令和元年9月 | 農業農村工学会主催 2019年度(第68回)農業農村工学会大会講演会 |
令和3年 | 情報誌 ARIC情報第143号掲載 |
令和4年 | 令和4年度土木学会全国大会第77回年次学術講演会 |
令和5年 | 農研機構 令和5年度 農村工学専門技術研修(施設保全管理) |
令和6年 | 第67回北海道開発技術研究発表会 |
令和6年 | 農研機構 令和6年度 農村工学専門技術研修(施設保全管理) |
左官アシスト機の応用について
水路トンネルや小規模断面へのモルタル補修に対する応用を現在検討中です。詳細はお問い合わせ下さい。
検討例①:水路トンネルへの応用
アーチ部の形状に合わせたガイドに沿って粗仕上げ用ブレードを上昇させることで水路トンネル内部の曲面形状にも応用できます。
ガイドを切り替えることで異なる形状や異なる寸法のアーチ部にも適用可能です。機械自体の小型化や軽量化等についても同時に検討を進めています。
さらに、FRPグリッドを設置した断面への適用も可能であることから、FRPグリッドを併用したモルタル補修での施工性向上についても検討中です。
▲検証状況
▲動作状況
現場への導入